元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。





「――もし生まれ変われるとしたら、クラウスはどんな人になりたい?」

 セラスティア姫が私にそう訊ねる。
 私は少し考えて、しかし結局ひとつの答えしか出てこなかった。

「私は、どんな姿になってもきっとまた貴女のお傍におりますよ。姫様」

 姫様はその瞳を大きくしたあとで、嬉しそうに顔をほころばせた。



 その笑顔が見られたら、それで良かった。
 その笑顔が見られなくなるのは、耐えられそうになかった。
 その笑顔が見られるのなら。
 ……自分の傍でなくてもいい。
 せめてどこかで、笑って生きていて欲しかった。



「クラウス。いつも私の傍にいてくれて、ありがとう」

 姫様が最期に笑ってくれた。
 いくつもの刃に背中を貫かれもう痛みすら感じなかったけれど、その笑顔をもう一度見られて私は最上の幸せを感じていた。

「姫様……申し訳ありません。せめて、どこまでもご一緒いたします」

 最期の力をふり絞り、私は愛おしい身体に聖剣を突き刺す。
 もう遅いとわかっていたけれど、少しでも姫様を楽にして差し上げたかった。


 ――もしも、私にも奇跡が起こせたなら。どうか生まれ変わってもまた、姫様のお傍に……。


「 姫様、愛しています 」




 END.

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