怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました
湊人が描いた絵をプレゼントすると、沙綾は嬉しさに涙を浮かべながら湊人を抱きしめた。
「ありがとう、湊人。ママとっても嬉しい」
「まま、えーん?」
「えーんってしちゃうくらい嬉しいってこと」
「まま、ちがうよ。うれしいのは、えーんじゃなくて、わーいだよ」
「そっか。そうだね。わーい、湊人大好き!」
「みなともー!」
見守る拓海もうっかり涙ぐみそうになるほど幸せな光景で、沙綾へのサプライズバースデーは大成功だった。
食事のあとは大きなバースデーケーキにろうそくを灯し、沙綾ではなく湊人が火を消した。
「あまーい!」
「うん、甘くておいしいね。でも湊人、ケーキはたべすぎたらダメよ」
「はーい」
「あとでしっかり歯磨きもしようね」
「……はーい」
「お風呂も入ろうね」
「……あい」
徐々に声が小さくなっていく湊人に笑い、やはり今日も「やだの!」と風呂に入るのを嫌がるのに手を焼き、あっという間に一日が過ぎていく。
沙綾が湊人を寝かしつけている間に風呂を済ませ、ソファに深く腰掛けながら大きく息を吐いた。