悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました


「オフィーリア。準備はできたか?」

「はい。お父様」

いくら見ても慣れないと思いながら、オフィーリアは鏡を眺める。

1カ月前に『オフィーリア・アヴァ・オルブライト 19歳』として死ぬ直前に読んでいたスマホ連載小説の中に転生したわたしこと小田あずみの現在の姿を。

プラチナブロンドの腰までたゆたうふわふわした美しい髪に白く抜けるような素肌。そして濃いアメジスト色の瞳。
顔立ちは凄まじく整っており美しく、口から発せられた声は鈴がなるかのごとくかわいらしい音色を奏でる。
とてつもなく可憐で、小さいころから体が弱く部屋を出る事が少なかったせいかほっそりしており、いつ折れてもおかしくなさそうに見えるからか、つい男性は守ってやりたくなるのだろう。

オフィーリアはその男性心理を最大限に利用していた。
別の名は『婚約クラッシャー』。

少しダンスを踊っただけでも息切れするその美少女は男性たちの心を虜にし、婚約者のいる男性もオフィーリアに夢中になった。
幸せそうなカップルを見ているとついその笑顔をぶち壊したくなって、男性を誘惑する。
オフィーリアに虜になった男性は婚約者に見向きもしなくなる。
カップルの仲は最悪となり、別れに至ったところでオフィーリアはそっぽを向くのだ。
突然そっけなくなったオフィーリアに男性は戸惑い、婚約者の元へ戻ろうとするが、一度壊れた仲をもとに戻すのは難しい。

亀裂の入ったカップルを見てほくそ笑むオフィーリアだった。
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