悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました


「なかなか美味でしょう?姉の夫が貿易事業を営んでいるのでいろいろ送ってくれるのですよ」

ウォルターが持ってきてくれたのは、めずらしい東洋のお菓子だ。
小田あずみとしては似たようなものは食べたことがある。
一番似ているのはかりんとうだが、見た目はあそこまでリアルではなく、もう少し品の良いものになっている。
黒糖を使っているようだ。

「本当ですわね。この味はこちらにはありませんわ」

ぼりっとかむと黒糖のいいかおりがする。
懐かしい味だ。

「お茶も東洋のものですか?」

「ええ。よくお分かりで」

紅茶ではなく、ウーロン茶やプアール茶ににた香りがする。

「めずらしいものをありがとうございます」

バラ園のガゼボでお茶。
ウォルターはこんなことをしたかったのだろうか。
オフィーリアの騎士も侍女も一緒に来ているし、ウォルターも騎士と侍女を連れてきている。

これなら問題ないか…。

「キングスコート卿。お聞きしたいことがございます」

「ええ。何なりと」

にっこりと笑うその笑顔はキラースマイルと呼ばれている、貴婦人方に人気の笑顔だ。
既婚者キラーと呼ばれている彼は、遊べる既婚者としか付き合わないと言われている。
本気の恋愛は彼の辞書にはないらしい。

だから、気を付けないと、とは思うが、あえてオフィーリアの事を令嬢扱いしているのは、興味がないと暗に伝えているのではないかとオフィーリアは思っている。

ウォルターとアシュトンは幼いころからの幼馴染で親友と呼べる仲だ。
ウォルターはアシュトンの妻に手は出さないはずだ。

「あの。アシュトン殿下なのですが、何か連絡はありましたか?」

「ああ。もうすぐ帰還しますよ。先ぶれが昼にきましたから…。心配ですか?」

「え?」

ウォルターの笑顔を見て、バレてると思った。
この人はわたしの気持ちをわかってる。

< 50 / 107 >

この作品をシェア

pagetop