悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました
12.過去の汚点
ブルトニアのレッドブルはラングレーの王都ラングリアより南に位置していたこともあって、冬であっても比較的温暖で、雪がちらつくことはあっても積もることはまれらしく、道中も雪で動けなくなるということはなかった。

途中の主要都市で5泊し、どこでも歓迎された2人は、まるで新婚旅行のような気分を味わうことができた。

小さいころ身体が弱かったオフィーリアがこの長旅に耐えられるかどうかと、アシュトンは実は心の中で心配していたのだが、始終楽しそうにしており、この地方の名産だと必ずかわったものをその土地の領主たちはこぞって晩餐に出してくれるのだが、オフィーリアはおいしそうにそれらもたいらげていた。
あまり負担をかけまいと思うのだが、夜はどうしても我慢できなくなり、抱かずにはおれない。
特に昼間に他の男性とオフィーリアが会話をしているのを目撃したときなどはどうしようもなくオフィーリアを征服したくなる。

はぁ‥。

オフィーリアは今、となりで眠っている。

アシュトンはひとりため息をついた。

愛しくて仕方ない。
スースーと規則正しく脈打つ寝息も、さきほどまで自分の下で見つめていたそのアメジストの瞳も、鈴がなるような声も、すべて…愛しい。

アシュトンはぎゅっと胸にオフィーリアを抱きしめると自分もいざなわれるまま眠りの淵へと落ちていった。

明日は最後の街だなと思いながら…。
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