天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
目が覚めると彼は隣で眠っていた。
まつ毛が長くて、整った顔は寝ていても素敵だと思った。
少し生えた髭が新鮮で手を伸ばすと、パッと私の手を握られた。

「おはよう」

「お、おはよ」

ベッドで横になりながら迎える初めての朝はどこか恥ずかしくて、布団の中に隠れてしまった。
すると布団ごと彼は抱きしめてきた。

「そう言うところが可愛くて仕方ないんだ。こら、顔を出せ」

彼は私をくすぐり、顔を出させた。
彼はフッと笑ってさっとキスをした。

「辛くない?」

「大丈夫。啓介さんが優しくしてくれたから」

すると彼は頭をかきながら照れ臭そうな顔をしていたがまたすぐに意地悪な顔に変わった。

「ならまたしてもいい?」

「え?!」

私が驚くと笑い声を上げていた。

「今じゃない。また後で、ってこと」

後で?
今晩もってこと?
私は急に昨日のことを思い出し顔が熱くなった。
彼は急に私のことを組み敷くと上から見下ろしてきて唇を重ねてきた。

「あんまり可愛い反応ばかりしていると明るくても襲うからな」

啓介さんの言っている意味がわからないがこのままだとまたこの明るい中抱かれてしまうのだろう。
それはちょっとまだ私にはハードルが高い。

「ご、ご飯。ご飯食べましょうよ」

私は焦ってそう言うと、彼はくしゃっと笑いながら私の手を引き、ベッドから起こしてくれた。
どうやら彼がガウンを着せてくれたみたいでホッとした。
< 146 / 167 >

この作品をシェア

pagetop