天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「茉莉花、シャワー浴びてくるだろ?」

「はい」

私はなんとか立ち上がるとシャワーへ向かった。足元がフラフラして力がうまく入らない。

「抱っこしようか?」

「大丈夫ですから!」

抱っこなんてされたら、と考えただけでますます顔が熱くなってくる。
私は壁伝いになんとかバスルームへ向かった。

バスルームから出ると交代で彼も入りに行ってしまう。
カーテンが既に開いていて、目の前に広がる港から船の出入りが見えた。窓際に立ちボーッと眺めていると彼が出てきてしまう。

「茉莉花、風邪引くだろ。おいで」

そう言うと昨日と同じようにオットマンに座らされドライヤーを持ってきて乾かしてくれた。
朝から啓介さんに甘やかされ、私は今まで感じたことがないくらいに幸せな気持ちでいっぱいになった。
その後、朝食をとると2人で街へ観光に出かけた。
< 147 / 167 >

この作品をシェア

pagetop