天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
異人館や風見鶏の館を巡り、途中有名なカフェでのんびりお茶をしたりした。お互い忙しく、こんなにゆっくり長い時間過ごしたのは初めて。ふたりでずっと過ごすのは心配だったけど杞憂に終わり、一緒にいると楽しくて仕方ない。ずっと手を繋いでいるのも慣れてきた。初めの頃に言われた「これが自然になる」って意味がわかったように思う。手が触れるとそのままお互い手を伸ばし、自然と絡め合うようになった。
南京町を見に行き、この後ルミナリエの会場に向かうつもり。

「疲れてない?」

「大丈夫。楽しすぎて疲れなんて全然ないです」

「茉莉花は若いからな」

「啓介さんは疲れてる? どこかで休む?」

私は心配になり、彼の顔を覗き込むと笑っていた。

「おじさん扱いするなよ」

そう言うと私の肩を強く抱き寄せてきた。
じゃれ合うようなやり取りさえ私には嬉しくして仕方ない。私も彼の腰に手を回すとぎゅっと抱きついた。
こんな大胆なことができるのも日常と違うからかもしれない。
パッと顔を上げると彼と目が合う。そのまま頭の上にキスを落とされた。
甘い彼に私の心はドキドキしたり、掴まれるように苦しくなったり、もどかしくなったりどうしたらいいのかわからないくらいに気持ちが昂っていた。
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