天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「そろそろ移動しようか」

だいぶ陽が落ちてきたのでルミナリエの会場に移動するが人が多くて身動きが取れない。
人に押しつぶされそうになり、啓介さんに肩を抱かれ少しずつ移動する。
イルミネーションは今までに見たものと比にならないくらい幻想的で素敵。ステンドグラスのような繊細なデザインに思わず息を飲んだ。圧倒されるその様子に私は魅入ってしまうが、とにかく人が多くゆっくり見られる感じではない。

「茉莉花、こっち」

人混みをすり抜け脇道へと逃げた。

「凄いな。良かったよ、予約しておいて」

彼に連れられレンガ作りのお店にたどり着いた。

「クリスマスだし、半分諦めていたが電話をしたらたまたま予約が取れたんだ。ここなら少しだがイルミネーションを見ながら食事が出来る」

どうして彼はこんなにスマートになんでもこなせてしまうのだろう。私はここに来ることでいっぱいになり頭が回らなかったのに。
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