天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
私は拳をぎゅっと握りしめると佐倉さんに向き合った。
「そうですか。母が大変失礼をしました。ですがあなたを待ち続けなくて良かったと私も同感します。申し訳ありませんがこれで失礼します」
私は立ち上がるとバッグを持ち、廊下へ出た。入り口まで来たところでお財布から1万円を取り出すと女将らしき女性に、私の分ですと伝え渡した。
なんだか母が騙されていたことも、母があの人を捨ててさっさと乗り換えたと思われたことも悔しくて、下唇を噛み締めた。
母は私を産むためにどれだけ苦労をしたか私は知っている。
両親に反対され、援助もなく母はひとりで働きづくめだった。それでもいつでも笑顔を絶やさず私のために一生懸命だった。母の人生は私のためだけのものだったのではないかと思うほどに自分のことは後回しで私のことばかりだった。
私にとっては素晴らしい母なのに、佐倉さんにあんなふうに思われていたのが悔しくてならない。
あんな話をするために私を呼び出したのだろうか。
母を偲びたいと言われたので、少ないが母の写真を何枚か持ちここまで来たのにバカみたいだ。
「そうですか。母が大変失礼をしました。ですがあなたを待ち続けなくて良かったと私も同感します。申し訳ありませんがこれで失礼します」
私は立ち上がるとバッグを持ち、廊下へ出た。入り口まで来たところでお財布から1万円を取り出すと女将らしき女性に、私の分ですと伝え渡した。
なんだか母が騙されていたことも、母があの人を捨ててさっさと乗り換えたと思われたことも悔しくて、下唇を噛み締めた。
母は私を産むためにどれだけ苦労をしたか私は知っている。
両親に反対され、援助もなく母はひとりで働きづくめだった。それでもいつでも笑顔を絶やさず私のために一生懸命だった。母の人生は私のためだけのものだったのではないかと思うほどに自分のことは後回しで私のことばかりだった。
私にとっては素晴らしい母なのに、佐倉さんにあんなふうに思われていたのが悔しくてならない。
あんな話をするために私を呼び出したのだろうか。
母を偲びたいと言われたので、少ないが母の写真を何枚か持ちここまで来たのにバカみたいだ。