天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「林田さん!」
竹之内さんは慌てたように私の元へと走り寄ってきた。私の顔を見るなりハンカチを取り出すと涙を拭いてくれた。
「た、竹之内さん!」
慌てて私は彼の手を払い除けようとするが、彼は拭う手を止めない。
「林田さん。言葉足らずで林田さんを傷つけるようなこと言ってしまったと社長から伺いました。お母様のときも言葉足らずが原因だったのにまた同じことを繰り返してしまったと悔やまれています」
「正直、佐倉さんに会わなければ良かったです。一緒に母の話ができると思い伺いましたが、母が騙されていた話や佐倉さんが母のことをどう思われていたのかを聞かされショックです。こんな話を今更聞きたくなんてなかった。母だって25年も前の話を娘に蒸し返して聞かされてると思ったらあの世で嘆いているでしょう」
竹之内さんは困ったような表情を浮かべていた。
「林田さん。社長はその後の話がしたいためにこの話から始められたんだと思います。懺悔という気持ちだったと思います」
「もういいです」
私は竹之内さんに頭を下げると部屋へ入った。
クッションに顔を押し付け、泣き声を押し殺しながら嗚咽を漏らした。
母は1人でどれだけ苦労してきたと思ってるの? あの人と別れた後の話かもしれないけれど母は決して佐倉さんと別れた後、楽しい人生を送ってきたわけではない。むしろ私をひとりで育てるために他の人の何倍も苦労してきた。さっさと佐倉さんを捨てて楽しい人生を歩んできたわけではない。
そもそも佐倉さんには捨てられるだけの理由があったくせに母のせいにするなんてひどい。
私は久しぶりに泣きつかれる程に泣き、そのまま眠ってしまった。
竹之内さんは慌てたように私の元へと走り寄ってきた。私の顔を見るなりハンカチを取り出すと涙を拭いてくれた。
「た、竹之内さん!」
慌てて私は彼の手を払い除けようとするが、彼は拭う手を止めない。
「林田さん。言葉足らずで林田さんを傷つけるようなこと言ってしまったと社長から伺いました。お母様のときも言葉足らずが原因だったのにまた同じことを繰り返してしまったと悔やまれています」
「正直、佐倉さんに会わなければ良かったです。一緒に母の話ができると思い伺いましたが、母が騙されていた話や佐倉さんが母のことをどう思われていたのかを聞かされショックです。こんな話を今更聞きたくなんてなかった。母だって25年も前の話を娘に蒸し返して聞かされてると思ったらあの世で嘆いているでしょう」
竹之内さんは困ったような表情を浮かべていた。
「林田さん。社長はその後の話がしたいためにこの話から始められたんだと思います。懺悔という気持ちだったと思います」
「もういいです」
私は竹之内さんに頭を下げると部屋へ入った。
クッションに顔を押し付け、泣き声を押し殺しながら嗚咽を漏らした。
母は1人でどれだけ苦労してきたと思ってるの? あの人と別れた後の話かもしれないけれど母は決して佐倉さんと別れた後、楽しい人生を送ってきたわけではない。むしろ私をひとりで育てるために他の人の何倍も苦労してきた。さっさと佐倉さんを捨てて楽しい人生を歩んできたわけではない。
そもそも佐倉さんには捨てられるだけの理由があったくせに母のせいにするなんてひどい。
私は久しぶりに泣きつかれる程に泣き、そのまま眠ってしまった。