天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
翌日、部屋をノックする音で目が覚めた。

「林田さん。いらっしゃいますか？　スマホを見ていただけないようなので心配で伺いました。お願いします。メッセージだけでも見てください。社長の気持ちが入っていますから」

その声は不快でしかならない。
彼は社長に雇われた秘書だから仕事の一環として来ていることは分かるが、こうして何度も来ることが不愉快だ。
私は彼の声に反応することなく黙っていた。
彼は私が部屋にいることをわかっているのか話し続ける。

「林田さんがご立腹なのもわかります。社長は不器用な方ですからきっと上手く話せなかったのでしょう。最後のお願いです。どうかメッセージを見てください」

ドアの外で頭を下げているのが目に見えるよう。
なんの反応もせずいるとしばらくして、部屋の前から遠ざかる足音が聞こえて来た。
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