天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
【茉莉花さんへ。先日は言葉が足らず失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでした。私は京香さんに嘘をついていたことを今も後悔しています。どうしてあの時素直に初めから告げなかったのか。私の家の話を聞いたからと言って彼女は見る目を変える人ではないとわかっていたのに。後から聞いたのですが、周りの人に私の家の話をされていたと知りました。きっと私がいつ話してくれるのか待っていたはずです。それなのに彼女になかなか真実を伝えられず、信じきれなかった私に愛想をつかされても仕方がなかったんです。彼女が私から離れ、どこかで出産したと聞き膝から崩れ落ちました。裏切られたと思ったんです。けれど彼女はひとりで育てていると風の噂で聞き、もしかしたら私の子ではないかという思いに駆られました。彼女は私を裏切るわけがない、と思い直しました。もし私の子供でなかったとしても私はひとりで子育てしている彼女を支えたかった。だからこの25年ずっと探していました。ようやくあなたをテレビで見かけ、私に奇跡が訪れたと思いました。ようやく手がかりが掴めたと藁にもすがる思いで食い入るようにテレビを見ました。もし今彼女が幸せならそれでいい。幸せであるか確認がしたかった。私は生涯彼女だけを思い続けています】

昨日の続きと思われる内容に驚いた。
母は佐倉さんが立派な家柄の跡取りだと知っていたということなのか。それでいつまでも本当のことを言わないから痺れを切らして別れたってことなのか?
そして佐倉さんはそんな母を25年探し続けてくれていたのか。
昨日の涙と今日のこのメッセージを読む限り正直に話していると思う。
母との始まりは嘘だったが、それは母も知った上でのお付き合いなら許していたということではないだろうか。ならどうして佐倉さんの前から消えたのか。母は温厚でとても気の長い人だから急に痺れを切らすなど私の知る限りありえないと思った。
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