天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「こんにちは」

爽やかな顔で話しかけてくる竹之内さんは最初こそメガネの真面目な秘書さんって感じだったのに何度もやりとりしているうちに少し打ち解けたのかもしれない。

「こ、こんにちは。今日はどうしました?」

「近くまで来たのでお弁当を頂こうかと思って……というのはウソです。ごめんなさい。実は昨日のスイートポテトがあまりに美味しくてお礼を言いにきました」

そう言うと私に紙袋を手渡してきた。

「今日の外出先近くのお店なんですけど、店舗の子がオススメだからって言うのでお礼に思って」

紙袋の中には綺麗な小瓶に入った金平糖がふたつ入っていた。小瓶は下の方だけカラフルでマーブル模様になっている。

「津軽びいどろっていう入れ物なんですって。中身が美味しいって聞いてお店に行ったんですけど、小瓶も可愛くて林田さんに早速今日渡したくなってしまいました」

「素敵。でも昨日お渡ししたのはただのスイートポテトですし、気にしないでください」

遠慮がちに話すと笑いながら、

「この連休中に色々とあったので迷惑料とでも思ってください。それにスイートポテトは本当に美味しかったからお礼です」

「あんな簡単なものをそんなに言ってもらえて恥ずかしいです。沢山作りすぎたので竹之内さんが食べてくれて私も助かりました。ここの金平糖はご褒美お菓子って有名なんです。高いので食べたことがないんです。ありがたく頂きます」

「やはり知ってましたか? 店舗の子たちにも、ここのは美味しいし喜ばれるからと言われたんです」

私たちが店頭で話していると後ろから安治郎さんが出てきた。
< 41 / 167 >

この作品をシェア

pagetop