天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
その日の夜、家に帰り竹之内さんからもらった袋をあらためて開けてみた。
ペアのようなグリーン系とパープル系のマーブル模様の小瓶に入った金平糖でとても可愛らしい。
小瓶を開けて一粒取り出し、口に放りこんだ。
するとレモンの甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。鼻から抜ける爽やかな香りが人工的ではなくどこか懐かしいような、それでいて口の中が酸っぱくなるような感じ。それなのに口の中は甘酸っぱくてとても美味しい。金平糖からこんなに鼻を抜けるような香りがするのは初めて。あまりの美味しさに驚いてしまった。話には聞いたことがあったが食べたのは初めてで、評判なのもよく分かった。
もう一つの瓶も誘惑に負けて一粒取り出した。
これは茶色くて可愛らしいとは言い難い色合い。口に入れるとコーヒーな香りが鼻から抜けた。
「お、美味しい……」
思わず口からこぼれ出てしまうほどの美味しさだった。苦味のあるコーヒーを飲んでいると勘違いしそうな香りだが、口の中は甘くて後を引く味だ。
小瓶に目を奪われていたが味も同じくらい私の心を奪うものだった。
私は小瓶を仏壇に供えた。
「お母さん、こんなに美味しいものをいただいたの。生きていたら食べさせてあげたかったな」
竹之内さんの昼間の顔をふと思い出した。
初めて会った時にはメガネの真面目な秘書さんと思ったけど今日は少しだけ話しやすかったな。そんなにスイートポテトが美味しかったのかな。男の人が甘いものが好きだなんてちょっと可愛いなと私は思い出し笑いをしてしまった。
ペアのようなグリーン系とパープル系のマーブル模様の小瓶に入った金平糖でとても可愛らしい。
小瓶を開けて一粒取り出し、口に放りこんだ。
するとレモンの甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。鼻から抜ける爽やかな香りが人工的ではなくどこか懐かしいような、それでいて口の中が酸っぱくなるような感じ。それなのに口の中は甘酸っぱくてとても美味しい。金平糖からこんなに鼻を抜けるような香りがするのは初めて。あまりの美味しさに驚いてしまった。話には聞いたことがあったが食べたのは初めてで、評判なのもよく分かった。
もう一つの瓶も誘惑に負けて一粒取り出した。
これは茶色くて可愛らしいとは言い難い色合い。口に入れるとコーヒーな香りが鼻から抜けた。
「お、美味しい……」
思わず口からこぼれ出てしまうほどの美味しさだった。苦味のあるコーヒーを飲んでいると勘違いしそうな香りだが、口の中は甘くて後を引く味だ。
小瓶に目を奪われていたが味も同じくらい私の心を奪うものだった。
私は小瓶を仏壇に供えた。
「お母さん、こんなに美味しいものをいただいたの。生きていたら食べさせてあげたかったな」
竹之内さんの昼間の顔をふと思い出した。
初めて会った時にはメガネの真面目な秘書さんと思ったけど今日は少しだけ話しやすかったな。そんなにスイートポテトが美味しかったのかな。男の人が甘いものが好きだなんてちょっと可愛いなと私は思い出し笑いをしてしまった。