天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「ねぇ、美知おばちゃんはお母さんといつから知り合いなの?」

「子供の頃からよ。高校までは一緒で、大学は別々のところに行ったの」

「そっか。なら、佐倉健二さんって知ってる?」

美知おばちゃんは驚いたような表情を浮かべた。

「茉莉花ちゃんはどうしてその名前を知ってるの?」

「つい最近になってこの人の秘書がお店に来たの。それで、母を偲びたいと言われ会ってみたの。」

「ええ?!」
 
ますます驚いた顔をするおばちゃんを見る限り佐倉さんのことを知っているのだろう。

「でもその人が、お母さんと付き合っていたけど自分のところから急に消えてしまったと話してたの。それでずっと探していたけど見つからなくて、最近になって私を見つけたんだって」

「それで?」

話を急くように身を乗り出してきた。
私も自分の中では処理できないことを解決したくてここにきた。
知り得たことをおばちゃんに相談に乗ってほしくてきたのだから、と話を続けた。

「佐倉さんはお母さんと将来を考えていたけど見る目が変わるのではないかと思って家業の話をしないでいたんだって。けど、悩んでいる間に消えてしまったと話してた。あと、お母さんは実は自分の家業のことを知っていたと後から聞いて、いつまでも言わない自分に呆れたんだろうとも話してた」

「そう……」

「お母さんは佐倉さんのことをどう思っていたんだろう」
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