天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
竹之内さんはその後も週に2.3回はお弁当を買いに来てくれ、段々と店の常連さんと会計を待つ間に会話までする馴染みの客となってしまった。
「今日はこれがおすすめらしいですよ! これが最後のひとつなんですけどね」
「おいっ!」
こんな話も笑いながら出来るくらい周りに溶け込み、なぜ最初に真面目で堅い人だと思ったんだろうと悩んでしまうくらいだ。
「あんたはそんなにオシャレなんだからこんな弁当なんて食べないで店で食べたらいいだろ」
「定さん、こんな店だなんて失礼じゃないか」
聞き捨てならないとばかりに安治郎さんは顔を出してきた。
「悪い、悪い。つい、さ。だってこんなお兄ちゃんがここの弁当ばかり食べてるなんてさ。綺麗なお姉さんたちとランチに行かないのかな、と思ったわけさ」
「ここほど安くて美味しいお弁当はないですからね。社長共々大ファンになりましたよ」
それを聞いて安治郎さんはニヤリとすると余っていた卵焼きをビニールにサービスで入れてあげていた。安治郎さんも初めこそ訝しげな顔で見ていたが、今は彼の気さくな人柄に暇な時には声をかけたりしていた。
「ありがとうございます。卵焼き美味しいんですよね」
そう言うと彼は頭を下げ、袋を下げ帰って行った。
彼は仕事の移動で近くに車を停めてくることが多いようだが、店舗の視察で近隣を回っている時には歩いてくる。そのあと弁当を下げ電車に乗っているようだ。
「竹之内さん、いつもありがとうございます。もしかして私に気を遣って来てくれてますか?」
「そんなことないです……と言うのは嘘です。最初はそうでした。でも本当に社長とファンになってしまったんです。だから林田さんのことは二の次です」
頭をかきながら笑うその顔を見て、嘘がつかない人なんだなぁとこちらまで笑ってしまった。
「今日はこれがおすすめらしいですよ! これが最後のひとつなんですけどね」
「おいっ!」
こんな話も笑いながら出来るくらい周りに溶け込み、なぜ最初に真面目で堅い人だと思ったんだろうと悩んでしまうくらいだ。
「あんたはそんなにオシャレなんだからこんな弁当なんて食べないで店で食べたらいいだろ」
「定さん、こんな店だなんて失礼じゃないか」
聞き捨てならないとばかりに安治郎さんは顔を出してきた。
「悪い、悪い。つい、さ。だってこんなお兄ちゃんがここの弁当ばかり食べてるなんてさ。綺麗なお姉さんたちとランチに行かないのかな、と思ったわけさ」
「ここほど安くて美味しいお弁当はないですからね。社長共々大ファンになりましたよ」
それを聞いて安治郎さんはニヤリとすると余っていた卵焼きをビニールにサービスで入れてあげていた。安治郎さんも初めこそ訝しげな顔で見ていたが、今は彼の気さくな人柄に暇な時には声をかけたりしていた。
「ありがとうございます。卵焼き美味しいんですよね」
そう言うと彼は頭を下げ、袋を下げ帰って行った。
彼は仕事の移動で近くに車を停めてくることが多いようだが、店舗の視察で近隣を回っている時には歩いてくる。そのあと弁当を下げ電車に乗っているようだ。
「竹之内さん、いつもありがとうございます。もしかして私に気を遣って来てくれてますか?」
「そんなことないです……と言うのは嘘です。最初はそうでした。でも本当に社長とファンになってしまったんです。だから林田さんのことは二の次です」
頭をかきながら笑うその顔を見て、嘘がつかない人なんだなぁとこちらまで笑ってしまった。