天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「林田さん、明日のお休みは予定がありますか?」

「明日ですか? 特にはありませんが」

「以前ハーバリウムをしたと思うのですが今回はナチュラルリース作りのワークショップがあるんです。またドライフラワーを使うのがメインですが木の実などを使うのでお友達といかがですか?」

この前のハーバリウムもオイルの中に浸かっているので今も綺麗なまま私の部屋の女子力を少しだけ上げてくれている。
先日もどれにしようかと散々悩んだけれど、とても楽しかったので素直にまた行きたいと思った。

「あの……行きたいのですが、友人に聞いてみてもいいですか?」

「もちろんですよ。連絡がついたらメッセージをください」

私はコクンと頷いた。

昼休みになると急いで蘭子へメッセージを送った。仕事中だからすぐに見てくれないと思ったがたまたまなのかすぐに既読が付いた。

「行く! 帰ったらまた連絡する」

淡白なメッセージだが一緒に行ってくれるらしい返信につい頬が緩んだ。
私はすぐに竹之内さんにメッセージを送るとすぐに返信をくれた。
 
【明日は14時からとなります。場所は先日と同じです。お待ちしております】

【よろしくお願いします】

スマホを手から離し、ようやくお昼ご飯を食べ始めると幸子さんはニヤリと私の顔を見てきた。

「いいわねぇ。デート?」

「そんなんじゃありません」

慌てて手を振る。

「あの人はいい人だと思うぞ。最初こそいけすかない男だと思ったが、あれは人見知りなのかもしれないな。今となっては何で初対面の時にそう思ったのか忘れちまうくらいだ」

「安治郎さんまで止めてくださいよ」

「茉莉花ちゃんにはいいと思うのよ。あんなに気さくな人なかなかいないじゃない」

3人で竹之内さんのことで盛り上がってしまう。

「第一、あの人が独身だと決まったわけじゃないですよ。それにあれだけの人なら付き合ってる人くらいいますよ。やだなぁ、もう。母の友人の秘書さんだから私を気にかけてくれているだけですからね」

自分に言い聞かせるようにみんなに伝えるとどこか胸の奥が苦しくなった。夜になり、蘭子からメッセージが届いた。

【お疲れ様。誘ってくれてありがとう。とっても楽しみなんだけど、実は夜に大輔くんと約束してるの。大輔くんと3人でご飯食べない?】

【急に誘ったのは私なんだから気にしないで。大丈夫だからね】

まさか蘭子と大輔くんのデートにお邪魔するわけにはいかない。
蘭子と明日の待ち合わせを約束し、ご飯はお断りした。
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