天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「あー楽しかったね! こんな見たこともない花で作れるなんて素敵。アンティークな雰囲気がなんとも言えないね」

蘭子は興奮気味に話していたが、私も納得のいく素敵なものができた。家に飾るのが今から楽しみ。

「蘭子、そろそろ大輔くんと会う時間でしょ?」

「あ……ヤダ、また緊張してきちゃった」

そう言ってはいるが、やはり大輔くんに会えるのが楽しみなのか笑顔が溢れる。なんだかいいなぁ、と少しだけ羨ましく思った。

「林田さん」

お店を出たところで、先程佐倉さんと立っていたところに竹之内さんだけが立っていた。

「あれ? お疲れ様です。どうしたんですか?」

「お疲れ様でした。楽しんでいただけました?」

「はい、もちろんです。誘っていただいてよかったです。ありがとうございました」

竹之内さんは笑いながら頷いていた。

「この後はどうされるんですか?」

すると蘭子が横から口を出してきた。

「今日は声をかけていただいてありがとうございました。この後私の彼と食事に行くんです。もしよければ秘書さんもどうですか?」

「ちょ、ちょっと蘭子! 何言ってるの?」

「ここまで出てきたので美味しいものでも食べに行こうって誘ってるんですけど彼と3人だと茉莉花は遠慮しちゃうみたいなんです。だからどうですか?」

私は慌てて蘭子の口を塞ごうとするが蘭子は私の手を押さえてしまう。

「私が一緒に行ってもいいんですか?」

竹之内さんの声に驚き、振り向くと笑っていた。

「もちろんです。彼はそろそろ仕事が終わるので近くまで来てるはずですから秘書さんも是非」

「ではご一緒させてください。秘書の竹之内と申します」

「遅くなりました、紺野蘭子です」

私が口を挟めずにいるとふたりで話を進めてしまった。
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