天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
着いたのはカジュアルなイタリアンのお店だった。
今日大輔くんに会うのをあんなに緊張するとか言っていたはずの蘭子は彼に会うなり彼の腕に自分の手をかけピッタリと寄り添っていた。
その仲の良さそうな姿に私まで頬が緩んでしまった。
 
「急にすみません。竹之内啓介と申します。Ange fleur Jusminで社長秘書をしております」

「阿部大輔です。鈴木商事で営業をしてます。急に蘭子がお誘いしてすみませんでした」

「いえ、ご一緒できて嬉しいです。よろしくお願いします」

緊張しているのかどちらかというと秘書よりな雰囲気に戻ってしまっており来て、大丈夫だったのかな、無理してないかなと心配になった。
グラスワインが運ばれてくるとみんなで乾杯をした。
料理は適当に頼み、みんなでシェアする予定。
さすが営業マンの大輔くん。話が上手で会話が途切れることがない。しかもそれに
応戦するように竹之内さんもさすが秘書といった感じでそつなく会話が進んでいく。
お酒も進んでくると言葉もだいぶ砕けてきていつの間にかいつもの気さくな竹之内さんが顔を出し始めた。
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