悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜

むくれているダリルの頭を撫でた。
可愛い弟には幸せになって欲しい……その思いだけだった。
部屋に戻ってから手紙を書いてすぐにフローレス邸に届けるように従者に渡す。
次の日には返事が返ってきた。

久しぶりに外に出る為に重い腰を上げた。
お忍びの為、軽装に着替えてからダリルに見つからないように素早く馬車に乗り込もうとすると、後ろからリュートに声を掛けられた。
なにかと思えば「一緒に連れていって欲しい」と懇願されて、共にフローレス邸に向かう事となった。

馬車から降りて屋敷の中を案内されると、部屋の中で待っていた令嬢と令息は丁寧に腰を折る。
声を掛けると、ゆっくりと顔が上がった。
その視線は鋭く、明らかに不満を訴えかけているように思えた。
暫く談笑しながら頃合いを見計らって侍女達を下げる為に片手で指示を出す。
そして此方を睨みつけながら言葉を待っているトリニティに向かって口を開いた。

「要は、さっさと婚約しちまえ」
「デュラン殿下、その顔……ムカつくんですけど」
「俺が認める人間なんて滅多にないぞ?」
「そんな事知りませんわ! そもそも何年も好意がある事を黙っていることがいけないのよ!」
「そうか?」
「ーーーわたくしは散々っ」
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