悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜
「それにね、ダリル殿下に嫁がなくても幸せかなって……ケリーデータの中にオススメの令息がいたら教えてくれない?」
「勿論ですっ! お嬢様も将来について色々と考えてるんですねぇ」
「そうなの! だからケリー、ダリル殿下の件は宜しく頼むわ。貴女しか頼れる人が居ないの」
「それならケリーはお嬢様の為に頑張っちゃいますね」
ケリーの不安そうな表情は消えて、すっかりご機嫌である。
そんな時、扉の外からトリニティを呼ぶ声。
「トリニティ、おはよう! 準備はどうだい?」
「今からですわ」
「緊張しなくても大丈夫だから気楽にね」
「はーい」
「行きましょう、愛おしいマーク」
「ケリー頼むよ。ああ、今日も美しいね……イザベラ」
トリニティの父親のマークと母親のイザベラは此方が見ていて恥ずかしくなるほどにラブラブすぎる夫婦である。
そしてそんな両親を見て育ってきたトリニティは結婚した相手とは仲良く愛に溢れた家庭を築けるのだと信じて疑わなかった。
けれど今は現実をよーく知っている。
(愛は幻……!)
トリニティになる前、彼氏がいた事もあったが仕事に追われて散々な目にあった。
そして画面や頭の中は潤っていたが、現実は干物のようにカピカピな人生だった。
今回は貴族に生まれ変わったのだから、早々に乙女ゲームの筋道から外れてモブになって、幸せを掴んでみせる。
「とりあえず殿下の好みと真逆にして頂戴ッ!」
「真逆となると、小悪魔ちゃんで快活な感じが良いのではないでしょうか?」
「じゃあそうしましょう! お願いね、ケリー」
「任せてくださいっ!」