悪役令嬢、モブ目指します!〜最短ルートを突き進もうとした結果、溺愛が止まりません〜


「はじめまして、ダリル・テ・エルナンデスです……」
「はじめまして、ダリル殿下。トリニティ・フローレスですわ」

至って普通に顔合わせは始まった。
今のところ不安だったダリルへの執着心も、異常な愛も生まれていない。
むしろゲームよりも小さくなった分、母性本能を擽ぐる可愛らしい少年の姿に危ない気持ちを抑えている。
ダリルは恥ずかしそうに顔を伏せた後、此方にチラリと視線を送っている。

(あの冷たい俺様ダリルからは想像出来ないくらい大人しくて可愛らしいのね)

ふと、ダリルの後ろから凄まじい圧力と悪寒を感じて身震いする。
容赦ない殺気にハッとすると、目付きの悪い男が値踏みするように此方を見ている。
視線に耐えかねて『どうにかしろよ』との意味を込めてダリルに問いかけた。

「あの、後ろの方は」
「いつも……私の側にいてくれるマーベルです」
「……どうも」

確かトリニティを断罪したのも証拠を集めたのもこの男……マーベルである。
マーベルは常にダリルの側にいる。
ゲームでも眉間に皺が刻まれていてシャープな目付きの強面だったが、実物を見るとかなり迫力がある。
あまりの圧に引き攣った声が漏れた。

(こっわ! マーベル怖ッ!!)
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