【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜
そうやって儚げな表情を見せる和佳奈に、俺は「もしかして和佳奈は……まだその人のこと、好きなのか?」と思わず聞いてしまった。
「……どうなのかな」
「え?」
「確かにあの時は、すごく好きだった。奥さんがいると分かってても、諦められなかった。……でも今となっては、好きなのかどうかも分からないの。 その人のことを忘れられないのは確かだし、愛してたと言えばそうだから……」
マグカップを見つめたまま、和佳奈は唇を噛み締めている。
「……辛いこと話させて、ごめん」
余計なことを聞いてしまったと反省し、和佳奈な謝罪したが、和佳奈は「ううん、気にしないで」と笑う。
「和佳奈、お前無理してないか?」
「……え?」
和佳奈は昔から、無理をするクセがあったから、ちょっと心配になった。
「お前は昔から……よく無理してただろ?」
「……そうだっけ?」
「そうだよ」
和佳奈は俺に向かって「加瀬くん……心配してくれてるの?私のこと」と、俺を見つめてくる。
「まあ、昔の仲だしな」
とは言え、それはもう昔の話だ。今は仕事での関係でしかない。
「ありがとう。……でも私なら、大丈夫だよ」
そう言って和佳奈は、笑った。