【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


 千歳といると、なんかこう不思議な気持ちになる。

「なあ、結婚指輪、見に行かね?」

「えっ?……あ、うん」

 繋がれた手はやけに暖かくて、千歳の温もりを感じた。

「ジュエリーショップ、どこにあるんだろうな」

「マップ……そこにあるけど、見てみる?」

「そうだな」

 ジュエリーショップが館内のどこにあるのかを
マップで探してみる。

「ここ何階だっけ?」

「ここは二階かな」

「ジュエリーショップは……一階にあるのか」

「みたいだね」

 私たちは一階にあるジュエリーショップに向かうため、エスカレーターを降りていく。

「あの服、可愛いかも」

「どれだよ?」

「あれ。チェックのシャツ」

 エスカレーターから見えるアパレルショップから見える、マネキンの着てるシャツが可愛くて、思わず指差してみる。

「確かに可愛いかもな」

「うん、可愛い」
 
「後で見てみるか?」

 千歳は優しいから、そうやって気を遣ってくれる。

「ありがと、千歳」

「まあ、デートだからな。見たいものを見ればいいんじゃね?」

「そうだね。千歳も見たいものあったら、言ってね」

「ああ、分かった」

 デート……か。
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