【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


「美味しいご飯、作って待ってよう」

 千歳に喜んでもらいたいし、千歳の笑顔が見たい。
 千歳が少しでも笑顔になってくれたら、それが一番嬉しいから。

 


✱ ✱ ✱


「ただいま」

「おかえり、千歳」

 夜八時を過ぎた頃、千歳は家に帰ってきた。

「桃子、ただいま」

「遅くまで、お疲れ様」

「ああ、ありがとう」

 千歳は疲れきった表情をしているが、少しだけ笑顔を取り戻した。

「お腹空いたよね?今ご飯用意するね」

「今日の夕飯なんだ?」

「今日はビーフシチューだよ」

 千歳はスーツのネクタイを緩めながら「ビーフシチューいいな。最高だな」と嬉しそうに微笑む。

「でしょ? 今温めるね」

「じゃあ、着替えてくるわ」

「うん」
 
 そういえば結婚する前に、千歳に一度だけ私の料理を食べさせたことがあったな。あの時は確か……ハヤシライスだった気がする。
 美味しいって食べてたな、千歳。 まああの時はまだ、ただの同期でしかなかったけど。

「はい。召し上がれ」

「いただきます」

 千歳は熱々のビーフシチューを、少しフーフーしてから口の中に放り込む。

「あっつ……!」

「えっ、大丈夫!?」
< 65 / 210 >

この作品をシェア

pagetop