【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

サーティーアの花祭りとファーレズの花祭り

 王都の門が見えてきて、グレが荷台から顔をだす。

「あれがファーレズの王都? サーティーアの王都よりもデカいなぁ!」

「ほんとうだな、規模がぜんぜん違う」
「そうなの?」

 エルモは村と街の往復だけで、まだサーティーアの王都に行ったことがなかった。

「ん? ああ、まだだったな。今度デートする? いや、まて、春先に王都で祭りがなかったか?」

「祭り? 精霊花祭りのことか?」

「そう、それだ!」

 グルはサーティーアの王都で春先に開催される、精霊花祭りのことを教えてくれた。

 祭りの日。王都の中は春に咲く花がまい、好きな人に花束をわたして告白する。

「え、好きな人に告白するの?」

「そう、恋人になりたい人、これから結婚する人、夫婦とかね。好きな人に想いを告げるんだって」

「なんて、素敵な祭りなの」

「ああ、素敵な祭りだな。でもな、祭りの元になった話がな……」

 そこでグルが黙ってしまう、ここまで聞いたから最後まで聞きたくて、話してと頼んだ。

「いいよ。大昔、この大陸にひとつの国しかなかった。人々は花の精霊、火の精霊、水の精霊など多くの精霊たちと共に過ごしていた……ときく」

 コクリと頷き、グレが続きを話す。

「人は供物を供え、感謝して、精霊の力をかり魔法を使っていた。しかし、一人の王がその力を自分のものにしようとした。そのおこないは大精霊の怒りかい、すべての精霊達の姿をみえなくした。いまは、力のあるものにしか精霊がみえない」

 ーー力あるものしか、精霊の姿がみえない。

「森に住む俺たちは昔から精霊に感謝して、森で共に暮らしていたからこの話を聞いて驚いた。昔から大精霊、精霊の守護を受けているから。まあ昔と違って、今は魔法が使えるものが減ってしまったけど」

 いまは精霊に力を借りるにしても、それなりの魔力がなければ無理なのね。

「はじめは精霊たちに"戻ってきて"と花を送っていた。それから、時代がたち"花を送り告白する"祭りにかわったんだろうな。名前に精霊がつくのは昔の名残かな?」

 サーティーアの花祭りか……いってみたいな。

「エルモ、春先になったらサーティーア王都の花祭りにいくか? 二人で花束を送り合おう」

「はい……あ、そういえばファーレズでも、名前は違いますが春を祝う春祭りがあります。この日は国中の人々は花びらをまき、精霊様に感謝する日だと習いました」

「へぇ、精霊様に感謝ね……」

 グルは荷馬車を走らせながら、近くの森をみて……フウッとため息をついた。

 エルモはそれが"何を意味する"のか変わらなかった。

「まっ、感謝するのはいいな」
「そそ、感謝は大事だね」

 それ以上は何も言わないから、二人に聞くことができなかった、
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