双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
「思い出を美化しているだけです。私は自分勝手な感情で雄吾さんを突き放した」
私はあえて冷たい声色で素っ気なく返し、肩に置かれていた手から逃れた。
「いい。たとえそうだったとしても」
「なに......」
私が真剣なのと同じく、彼もまた本気だ。離れようとした私の手首を掴んでくる。
「放して。私、もう帰らなきゃ」
触らないで。あなたに触れられたら、瞬く間に意識が過去へ引き戻される。
掴まれている箇所から熱が灯り、身体の奥まですぐに伝染して、甘い鼓動を思い出してしまう。
しかし、力では男性に敵うわけもない。彼はしっかり掴んだ私の手をグイッと引き寄せて言う。
「俺を見てくれ。もう一度ちゃんと」
もうほぼ彼の腕の中と言ってもいい。そこから彼を仰ぎ見て、全身全霊の想いを感じ心が大きく揺れる。
私の心情を知ってか知らずか、雄吾さんは畳みかけてくる。
「聞かせて。過去じゃない。今の春奈が抱えている本当の心の声を」
切実な声を耳にして、喉の奥から熱いものが込み上げる。
泣くのはダメ。目を逸らすのもダメ。ここは気丈に振る舞ってみせなければ。
心の中で唱えて、唇を引き結ぶ。でも私が口を開く前に、彼は痛いほど本音をぶつけてくる。
「俺ももう綺麗ごとを並べて逃げたりなんかしないから」
誠実な彼を前にして、奥底にしまっていた彼への想いが出てきそうになる。
いや――。本当は彼と再会し、二年前の感情を思い出しているのではない。
これは、現在進行形の感情だ。
「待......っ」
途端に私は雄吾さんの手を振り払い、駆け出した。
怖い。固かったはずの決意が、彼の前だと容易に揺らぐ。
昔の居心地のよさと、胸が温まる感覚を忘れられていない自分が顔を覗かせる。このままそばにいたら、彼との未来を願ってしまいそうで身が竦む。
心理的に離れられないなら、とにかく物理的な距離を取らなければ。
そう思って咄嗟に走り出したものの、夜道にパンプスというのもあり、易々と彼に捕まった。
私は俯いたまま。今にもこぼれ落ちそうな涙を唇をかみしめて堪える。
「春奈!」
「だって......だって、どうしたらいいんですか? 果乃子さんが雄吾さんの縁談相手だったと思っていたのが誤解だってわかって。だけど時間は進んでしまっていて」
震える声で訴えて、静かに顔を上げた。
私はあえて冷たい声色で素っ気なく返し、肩に置かれていた手から逃れた。
「いい。たとえそうだったとしても」
「なに......」
私が真剣なのと同じく、彼もまた本気だ。離れようとした私の手首を掴んでくる。
「放して。私、もう帰らなきゃ」
触らないで。あなたに触れられたら、瞬く間に意識が過去へ引き戻される。
掴まれている箇所から熱が灯り、身体の奥まですぐに伝染して、甘い鼓動を思い出してしまう。
しかし、力では男性に敵うわけもない。彼はしっかり掴んだ私の手をグイッと引き寄せて言う。
「俺を見てくれ。もう一度ちゃんと」
もうほぼ彼の腕の中と言ってもいい。そこから彼を仰ぎ見て、全身全霊の想いを感じ心が大きく揺れる。
私の心情を知ってか知らずか、雄吾さんは畳みかけてくる。
「聞かせて。過去じゃない。今の春奈が抱えている本当の心の声を」
切実な声を耳にして、喉の奥から熱いものが込み上げる。
泣くのはダメ。目を逸らすのもダメ。ここは気丈に振る舞ってみせなければ。
心の中で唱えて、唇を引き結ぶ。でも私が口を開く前に、彼は痛いほど本音をぶつけてくる。
「俺ももう綺麗ごとを並べて逃げたりなんかしないから」
誠実な彼を前にして、奥底にしまっていた彼への想いが出てきそうになる。
いや――。本当は彼と再会し、二年前の感情を思い出しているのではない。
これは、現在進行形の感情だ。
「待......っ」
途端に私は雄吾さんの手を振り払い、駆け出した。
怖い。固かったはずの決意が、彼の前だと容易に揺らぐ。
昔の居心地のよさと、胸が温まる感覚を忘れられていない自分が顔を覗かせる。このままそばにいたら、彼との未来を願ってしまいそうで身が竦む。
心理的に離れられないなら、とにかく物理的な距離を取らなければ。
そう思って咄嗟に走り出したものの、夜道にパンプスというのもあり、易々と彼に捕まった。
私は俯いたまま。今にもこぼれ落ちそうな涙を唇をかみしめて堪える。
「春奈!」
「だって......だって、どうしたらいいんですか? 果乃子さんが雄吾さんの縁談相手だったと思っていたのが誤解だってわかって。だけど時間は進んでしまっていて」
震える声で訴えて、静かに顔を上げた。