双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
 すると、さりげなく背中をぽんと軽く叩かれた。顔を上げると、隣の雄吾さんが柔和な表情をしている。いい感じにほんの少し肩の力抜けたところに、お母様が紅茶を出してくれた。そして、お父様の横に腰を据えた直後、雄吾さんが口を開く。
「この間、話した通り、俺は彼女と結婚する。今日は正式にその報告をしに」
 お父様は、ジッと私たちを見て動かない。一瞬また萎縮してしまったけれど、こちらも意志の固さを伝えたくて片時も目をそらさず見つめ返した。
「確認事項がある」
「はい。なんでしょう」
 お父様の視線は明らかに私だけに向けられていたので、私が答えた。
 ごくりとつばを飲み、お父様の言葉を粛々と待つ。
「雄吾との子どもがいると聞いたが、本当かな?」
 投げかけられた質問を聞き、心臓がドクンと大きく脈打った。
 当然、この話題は今日の中での肝だと想定していた。しかし、完璧な受け答えなど用意はできなかった。
 ひとりで決断して産み育てていたのは、ある意味ルール違反だったかもしれない。だけど、私はお腹にあの子たちが宿っているとわかった時から守ると決めた。それは身体的な意味だけではなく、精神面も含まれる。
 雄吾さんとまた歩んでいくと状況が変化した今、穂貴や詩穂の存在をないものには絶対にしない。
「はい。間違いありません」
 はっきりと言い切ると、お父様は顔色ひとつ変えずにさらに尋ねてくる。
「写真かなにかは?」
 その質問はまったくの想定外で、意図が読めずにたじろいだ。私はバッグからスマートフォンを取り出し、画像フォルダを出して最近撮った穂貴と詩穂のツーショットを表示させた。
「どうぞ」
 スマートフォンをあちら側に向けて差し出すと、お父様はそれをゆっくり受け取った。私のスマートフォンの画面を黙って見続けている。
 次はなにを聞かれるかと心臓をバクバクさせていたら、緊迫した空気にそぐわない朗らかな声が沈黙を破った。
「かわいい~。ええ! もしかして双子なのかしら? ねえ、この男の子なんか特に雄吾の小さい頃みたいよ。そっくりねえ!」
 お母様は初めは遠慮がちに見ていた私のスマートフォンを、お父様を押しやるのではないかというほど前のめりで見入っていた。
 私は心底驚いて、発言したお母様を凝視する。さらにお父様もまた、度肝をぬくような言葉を発する。
「隣の女の子も凛々しくて美人になりそうだ」
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