双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
 そうして気づけばゴールデンウィーク。
 我が社は今年はなんと十連休。私のゴールデンウィークは、前半は神奈川の実家に二泊して地元の友達と会って過ごした。
 東京に戻って来た翌日の今日は、雄吾さんとの約束の日。
 私は今日中に想いを伝えようと、密かに心を決めていた。
 彼とは私が住むアパートの最寄り駅で待ち合わせ。
 雄吾さんを待っている間、自分に課した今日のミッションを考えては緊張が増し、気持ちが落ち着かない。
 待ち合わせ時間の五分前。そこに一台の車がロータリーにやって来た。雄吾さんは窓を開けて笑顔を見せる。
「春奈さん。お待たせ」
 会釈した私は彼に促され、助手席に乗り込んだ。
「失礼します。いつも迎えに来ていただいてありがとうございます」
「いや。春奈さんを迎えに来る時間も楽しいから気にしないで。じゃあ移動しよう。シートベルトは大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です」
 雄吾さんは変わらずさらりと歯の浮くようなセリフを言う。それが嫌なわけではなく、単純に照れくさくて恥ずかしい。
 私は動揺を押し隠し、口を開く。
「私、東京に来て初めての水族館です。楽しみ」
 今日は事前に行き先が決まっている。雄吾さんとのメッセージのやり取りの流れで、水族館に行こうかという話になったのだ。
「僕も子どもの頃に行ったきりだから、大人になった今行くとどんなふうに感じるかわくわくしてる」
 雄吾さんはいつも優しく、寄り添ってくれる。だからきっと、知り合って間もないのにこんなにも安心感があって、居心地がいいのだと思う。
 車で移動すること約一時間。
 覚悟したほどゴールデンウィーク中の高速道路の混雑もひどくはなかった。今日は平日でもあるから、仕事の人も多いのかもしれない。
「うわあ」
 多くの来場者が入り口に向かう中、人混みよりも視線の先にあるドーム型をしたガラス張りの建物に、思わず声をあげた。
 一見水族館には思えない美術館のような造りで、海に浮かんでいる錯覚に陥る。そのゲートを潜って下りのエスカレーターで降りれば、海底へ続いている道みたいで年甲斐もなく興奮してしまった。
「なんだか水族館じゃないような建物ですね。オシャレ!」
「ここの水族館の設計をした建築家はいくつも賞を獲るほどの人だからね。やっぱりひと目で心を奪われる」
 雄吾さんも建物を仰ぎ見ながら感嘆し、さらに続けた。
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