双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
話に夢中になりすぎて、気づくのが遅れた。顔を正面に向けると、十数メートルはある長さの水槽に泳いでいるサメの背びれが辛うじて見えた。きっと悠々と泳いでいるに違いない。しかし、水槽の前はすごい人だかり。身長が女性の平均程度の私には全貌までは見られなくて、人混みの隙間から水槽を観察するしかなかった。
「春奈さん。あっち側なら比較的空いてそうだよ」
「はい」
そんな私を気遣ってか、雄吾さんがリードしてくれる。彼は上背があるからどこが空いているとか私よりも広域が見えるのだろう。
雄吾さんについて歩くだけでもゴールデンウィークの混雑では大変。学生のグループに流されそうになった時、雄吾さんに手を握られた。
「ごめん。はぐれたら困るから」
「あ......ありがとうございます」
ふいに大きな手に包まれて、心臓が跳ね回る。館内は空調や冷房でほどよい室温だったはずなのに、一気に身体が熱く感じた。
その後、いろんな水槽を見て回るも雄吾さんの手が気になって仕方がない。ずっとドキドキしてる。人で混雑している場所はいつもなら疲弊するのに、今ばかりはそれすら気にならなかった。
サメがいた二階から一階へ移動する際、階段付近で今にも泣き出しそうな男の子に遭遇した。見た感じだと三歳くらい。近くに保護者らしき人も見当たらないし、男の子の不安そうな表情と落ち着きのない動きから、はぐれてしまったのだと思った。
「あの子......」
「ああ。きっと迷子だな」
そこで雄吾さんの手が離れ、彼は私よりも先に男の子のそばに寄り添った。彼の手を名残惜しく思う暇もなく、私も男の子のもとへ行き、膝を折る。
「パパとママ、いなくなっちゃった?」
私の声かけに、男の子は一気に顔をくしゃりと崩して涙を流し始めた。
「あっ、だ、大丈夫だよ。お名前言える?」
慌てふためきながら名前を尋ねるも、やっぱり答えてもらえない。初めの声のかけ方を誤ってしまったと心底後悔する。
ふいに雄吾さんがふわっとその子を抱き上げた。
「さっきよりはよく見えるだろう? 君が迷子のパパとママを助けてあげて」
一瞬怯えていた男の子も、雄吾さんのひとことに強張っていた表情が一変し、涙を堪えて凛々しい顔つきになる。
「できる?」
雄吾さんが男の子と顔を向き合わせて尋ねると、その子は使命感を抱くような口ぶりで「うん」と答えた。
「春奈さん。あっち側なら比較的空いてそうだよ」
「はい」
そんな私を気遣ってか、雄吾さんがリードしてくれる。彼は上背があるからどこが空いているとか私よりも広域が見えるのだろう。
雄吾さんについて歩くだけでもゴールデンウィークの混雑では大変。学生のグループに流されそうになった時、雄吾さんに手を握られた。
「ごめん。はぐれたら困るから」
「あ......ありがとうございます」
ふいに大きな手に包まれて、心臓が跳ね回る。館内は空調や冷房でほどよい室温だったはずなのに、一気に身体が熱く感じた。
その後、いろんな水槽を見て回るも雄吾さんの手が気になって仕方がない。ずっとドキドキしてる。人で混雑している場所はいつもなら疲弊するのに、今ばかりはそれすら気にならなかった。
サメがいた二階から一階へ移動する際、階段付近で今にも泣き出しそうな男の子に遭遇した。見た感じだと三歳くらい。近くに保護者らしき人も見当たらないし、男の子の不安そうな表情と落ち着きのない動きから、はぐれてしまったのだと思った。
「あの子......」
「ああ。きっと迷子だな」
そこで雄吾さんの手が離れ、彼は私よりも先に男の子のそばに寄り添った。彼の手を名残惜しく思う暇もなく、私も男の子のもとへ行き、膝を折る。
「パパとママ、いなくなっちゃった?」
私の声かけに、男の子は一気に顔をくしゃりと崩して涙を流し始めた。
「あっ、だ、大丈夫だよ。お名前言える?」
慌てふためきながら名前を尋ねるも、やっぱり答えてもらえない。初めの声のかけ方を誤ってしまったと心底後悔する。
ふいに雄吾さんがふわっとその子を抱き上げた。
「さっきよりはよく見えるだろう? 君が迷子のパパとママを助けてあげて」
一瞬怯えていた男の子も、雄吾さんのひとことに強張っていた表情が一変し、涙を堪えて凛々しい顔つきになる。
「できる?」
雄吾さんが男の子と顔を向き合わせて尋ねると、その子は使命感を抱くような口ぶりで「うん」と答えた。