双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
 それを私に見せてくれることが、すごく幸せ。
 夢中でキスを繰り返し、彼に触れられて乱れていく。
 恥ずかしい。でも、嫌じゃない。むしろ喜びすら感じている。私は気づけば羞恥心も現実もなにもかも忘れて、『もっと』と彼に縋った。
 すると彼はそれに応えるように、何度も「春奈」と私を呼びながら、身体中に唇を落としていった。

「なんか勢い任せにいろいろと悪かった。本当にごめん」
 最後にワイシャツを着終えた雄吾さんは、ベッドの縁に座る私を見て肩を竦めて謝った。
「ううん。いつも余裕たっぷりの雄吾さんが必死になる姿、私結構うれしいかも」
 私はスーツの上着に袖を通す雄吾さんを見上げ、クスッと笑って言った。すると、彼は苦笑いを浮かべる。
「んー、それはちょっと複雑な心境だ。あんまりカッコ悪いところは見せたくない」
「あ。それと、今日新たに気づいたことがひとつあって」
「なに?」
 雄吾さんは心当たりがないせいか、やや焦り気味に聞き返す。
 気づいたことというのは、彼が切羽詰まった時には少し強引になって、自分の呼び方も変化するところ。
 そのあたりは、雄吾さん本人が意識しているかどうかはわからないけれど。
 私は顔に〝気になる〟と書いている雄吾さんを一瞥し、「ふふっ」と笑った。
「やっぱり秘密」
 本人に教えてしまったら、気にしてもう〝あの雄吾さん〟が見られなくなるかもしれないし。
 私がひとりで楽しそうにしているのを、彼は終始不思議そうに首を傾げつつも、それ以上は詮索してこなかった。
「なら、そのうち教えて。この先もずっと秘密にされるのは、さすがに僕も拗ねるかもしれない」
 こういう子ども染みた私に対して大人の対応ができる雄吾さんだから、やっぱり居心地がいいし、好きだなあと思う。
「あ、そうだ。これ、春奈にあげる」
 雄吾さんはリビングに無造作に置いたままだった紙袋を拾い上げ、こちらに差し出す。
「これは?」
 紙袋を受け取ってちらりと中を覗くと、お菓子の化粧箱のようだ。
「昨日もらったんだ。『かしやま』の季節限定商品だって」
「あの有名な、かしやまの? わあ。いいの? ありがとう」
 かしやまはずいぶん昔に創業された和菓子メーカーで、『東京土産といえばかしやまのまんじゅう』と言われるほど有名なところ。
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