双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
 金曜日になった。
 あの後、雄吾さんからは【親睦を深める場に参加するのも大事なことだよね。だから僕もいつも積極的に参加してる。楽しんできて】と返信が来ていた。
 私は快く送り出すような内容の文面に彼らしさを感じる反面、やっぱり雄吾さんは金曜日の夜は忙しくて会えなかったんだなとわかってがっかりもした。
 まあ、歓迎会に参加する予定なのに雄吾さんに誘われでもしたら、とても謝を悩ませる事態になるのは想像に難くない。それでも、〝雄吾さんに会える〟ことを天秤にかける――そんな状況を想像してしまうくらいに、私の心の奥には彼に会いたい気持ちがあるのだと改めて気づかされた。
 予想通り、今日はほとんどの人が定時過ぎに仕事を終えていた。
 私は直前に取引先から連絡が入り、ちょっと出遅れてオフィスを出る。エレベーターの中で、雄吾さんに【これから行ってきます】とメッセージを送った。
 歓迎会はオフィスから徒歩十五分ほどの居酒屋で開催された。
 私は中堅の立場だから、上司に気を配り、先輩の話を聞きつつ後輩にも声をかけたりと忙しなく過ごしていた。
 そうこうしているうちに、あっという間に時間になる。しかし、当然ここでお開きとはならずに、参加者の半数以上を引き連れて二次会へ行く流れとなった。
 ここで帰ろうかどうしようかと悩んでいたら、主役のひとりである三橋くんに誘われてしまい、断れずに私も参加組へ。二次会会場は恒例のカラオケ店だった。
 そこでも約二時間滞在し、会計を済ませてぞろぞろと外へ出る。
 一部では三次会の話題になっていたけれど、私はこのへんで離脱しようと輪から外れた。今は何時頃かとスマートフォンを取り出す。すると、雄吾さんからメッセージが来ていた。
【カラオケ盛り上がってるところごめんね。明日、会える?】
 その文面を見て、私は疲れが一気に消え去る。アプリでスケジュールを確認して、すぐさま【明日大丈夫だよ】と返信した。
 俄然元気が出てきた私は、スマートフォンをバッグにしまい、近くにいる人に挨拶をして帰ろうとした。
「古関、帰るの?」
 そんな私に声をかけてきたのは三橋くんだった。彼は昔からよく周りが見えている人だから、私が帰ろうとしていたのにすでに気づいていたっぽい。
「あー、うん。久々に飲んだから、ちょっと」
「え。大丈夫かよ?」
「大丈夫だよ。心配しないで」
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