双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
 と言いながらも、ちゃんとご飯を食べてないでお酒を飲んだのもあって、実は頭と胃が重い。でもこの程度なら、まだひとりで電車に乗って帰れる。
「俺、家まで送る」
「いやいや。主役でムードメーカーの三橋くんがいなくなったら、みんながっかりするでしょ。私のことは気にしないでよ」
「じゃあ、駅まで。それくらいならすぐみんなと合流できるし。俺、ちょっと遅れるって言ってくる」
「ちょっ、あっ......もう。いいのに」
 平気だとアピールも兼ねて笑顔で対応したのに、三橋くんに強引に押し切られた。
 わざわざ部署の人たちに報告へ行った彼の後ろ姿を見て息を吐く。それから走って戻ってきた三橋くんに苦笑交じりに言った。
「ホント、誰にでも面倒見いいとこ変わらないね」
 三橋くんは入社したばかりの頃、私が困っているとすぐに声をかけてくれたりフォローをしてくれた。同期なのに本当に頼れる人だった。
 駅に向かって歩きながら懐かしい過去を思い返していると、三橋くんがぽつりとこぼす。
「誰にでもってわけじゃないよ」
「ふうん?」
 そういう謙遜も世間ではポイント高いんだろうな。当時だって女子社員から人気だったし、海外勤務の間も国境を問わず人から好かれている三橋くんが簡単にイメージできる。
「っていうか、古関は変わったな。大人になっててびっくりした」
「なーに? 老けたって言いたいの?」
 私はジトッとした目を向ける。
 そりゃ、入社したての初々しさはゼロだとは思っている。気づけば二十代もあっという間に折り返したし。
 私の偏見といえばそれまでだけど、私たちくらいの年代って、女性は年を取る現実に抗いがちだけど、男性はいい感じで歳を重ねている気がする。頼りがいとか風格とか、大人の男の人の魅力が出てくる時期とでも言うのかな。
 私の視線を受けた三橋くんは、慌てた様子で必死に弁解する。
「いやマジで! 昔は可愛いなって思ってたけど、再会したら綺麗になってて......。その、今、付き合ってるやつとかいるの?」
 予測しなかった返しに戸惑う。
 自意識過剰かもしれないけれど、これはもしかするとまずい流れかも。お酒も入っているし、その勢いで軽く質問しただけなら、構わない。でも、大抵こういう質問に続く流れは決まっている気が......。
「えーと、いるよ」
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