双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
この女性が――。当時、雄吾さんの縁談相手で......あの時、雄吾さんから花束を受け取っていた人だ。おぼろげだった記憶も、間近で本人を見ていたら徐々に鮮明になってくる。
もう雄吾さんとは別れていても、彼女を見るとあの瞬間に味わった胸の鈍い痛みが侵食していく。
為す術なく立ち尽くしていたら、雄吾さんが流れるように口を開いた。
「こちらは古関春奈さん。僕が今......いや。ずっと前から片想いしている人」
「なっ」
この状況で信じられない紹介をされ、目を大きく見開いた。同時に、今やってきた弟さんご夫妻も同じく唖然としている。
そんな前置きをされて、私が挨拶できるはずがないじゃない。
しんと静まり返る中、沈黙を破ったのは尚吾さんだった。
「兄さん。ちょっと......さすがに居た堪れない」
尚吾さんはひとつ息を吐き、額に手を添えて渋い顔をしている。
もう、これはなんの所業なの? もしや雄吾さんに新手の仕返しでもされているのではないだろうかと疑ってしまうほどだ。
顔が熱い。なにか言わなければと思えば思うほど、言葉が見つからなくて私は視線を泳がせるしかできない。
「ほら。彼女、驚いて固まってるよ」
あきれ声で尚吾さんが指摘すると、雄吾さんは私を見て言う。
「春奈。いきなりごめん。でも、まず誤解を解きたくて」
「誤解......?」
雄吾さんが必死に弁明する姿に首を傾げた。
正直、今のところ現状をひとつも理解できていない。だから、この後どんな爆弾が待ち構えているのかと心の準備もできなくて、ただただ怖いだけだ。
私が不安げに雄吾さんを見ると、彼はまっすぐな瞳を向けてくるや否や、驚きの発言をする。
「僕はこれまでお見合いも婚約したことなんてない。まして弟に押しつけたりなんか!」
彼の釈明に頭の中は真っ白だ。
「ま、待ってください。これは一体なんの話を今......」
「君の旦那さんにいろいろ言われてから、どうも引っかかった。僕が尚吾に政略結婚の身代わりを頼んだなんて、そんな噂が当時あったのかどうかを調べたんだ」
海斗が? そんな話、今さら雄吾さん本人にしなくてもいいのに!
「もうその話は――」
「そうしたら、尚吾が心当たりがあるって言って」
雄吾さんは私の言葉に被せ、切実な面持ちで言った。私は彼の真剣な顔になにも言えなくなって、口を噤む。
もう雄吾さんとは別れていても、彼女を見るとあの瞬間に味わった胸の鈍い痛みが侵食していく。
為す術なく立ち尽くしていたら、雄吾さんが流れるように口を開いた。
「こちらは古関春奈さん。僕が今......いや。ずっと前から片想いしている人」
「なっ」
この状況で信じられない紹介をされ、目を大きく見開いた。同時に、今やってきた弟さんご夫妻も同じく唖然としている。
そんな前置きをされて、私が挨拶できるはずがないじゃない。
しんと静まり返る中、沈黙を破ったのは尚吾さんだった。
「兄さん。ちょっと......さすがに居た堪れない」
尚吾さんはひとつ息を吐き、額に手を添えて渋い顔をしている。
もう、これはなんの所業なの? もしや雄吾さんに新手の仕返しでもされているのではないだろうかと疑ってしまうほどだ。
顔が熱い。なにか言わなければと思えば思うほど、言葉が見つからなくて私は視線を泳がせるしかできない。
「ほら。彼女、驚いて固まってるよ」
あきれ声で尚吾さんが指摘すると、雄吾さんは私を見て言う。
「春奈。いきなりごめん。でも、まず誤解を解きたくて」
「誤解......?」
雄吾さんが必死に弁明する姿に首を傾げた。
正直、今のところ現状をひとつも理解できていない。だから、この後どんな爆弾が待ち構えているのかと心の準備もできなくて、ただただ怖いだけだ。
私が不安げに雄吾さんを見ると、彼はまっすぐな瞳を向けてくるや否や、驚きの発言をする。
「僕はこれまでお見合いも婚約したことなんてない。まして弟に押しつけたりなんか!」
彼の釈明に頭の中は真っ白だ。
「ま、待ってください。これは一体なんの話を今......」
「君の旦那さんにいろいろ言われてから、どうも引っかかった。僕が尚吾に政略結婚の身代わりを頼んだなんて、そんな噂が当時あったのかどうかを調べたんだ」
海斗が? そんな話、今さら雄吾さん本人にしなくてもいいのに!
「もうその話は――」
「そうしたら、尚吾が心当たりがあるって言って」
雄吾さんは私の言葉に被せ、切実な面持ちで言った。私は彼の真剣な顔になにも言えなくなって、口を噤む。