双子ママですが、別れたはずの御曹司に深愛で娶られました
その後は高級フレンチを堪能したものの、心は完全には晴れなかった。
食事の間、彼は別れの日はもちろん、子どもや海斗の話題には触れず、料理の話や当たり障りのない雑談をしていた。私も彼の言葉に相槌を打ったり、時折質問に答える形で会話をする程度。
どうしてもぎこちなさは残っていたが、食事の時間は恋人だった頃の時間を彷彿とさせた。
同じものを口にして、『美味しいね』と言い合って。時々目が合えば、恥ずかしくなって下を向く。
そんなすべてに懐かしいと感じてしまっていた。
しっかりとデザートまで食べ終えて、レストランを出る。会計は雄吾さんが有無を言わせず済ませてしまった。
「あの、ごちそうさまでした」
おずおずと頭を下げてお礼を伝えると、彼は微笑んだ。
「少し外でも歩こうか」
この後はどうしたらいいのかと困っていたから、雄吾さんの提案にただ頷いた。
ホテルを出て、海に沿った道を並んで歩く。
こうしてふたりきりでいると、昔にタイムスリップした錯覚に陥る。私は雄吾さんと一緒にいる時間が凪のように穏やかでとても好きだった。
そんなことを思っていると、海風が肌を撫でていく。いつもなら肌寒いと思っていただろうけれど、今ばかりは体感温度も忘れるくらい、隣にいる雄吾さんのことで頭がいっぱいだ。
心臓が信じられないほど速いリズムで脈打つ。次になにを言われるのかを懸命に考えていた。
だって、今日は雄吾さんの方から話がしたいと私を呼び出していたから。
彼の話したかったことは、尚吾さんたちを交えた過去の噂の訂正だけではないはず。
「春奈」
至極真剣な声で名を呼ばれ、肩がビクッと揺れた。
足を止めてそろりと彼を見ると、笑うわけでもなく、そうかといって怒っていたり適当だったりでもない表情を浮かべている。
「今日は来てくれてありがとう」
避けてひどい態度を取っていたのは私。非難こそされど、お礼を言われるなんて。
私は無言で首を横に振る。雄吾さんはそれを受け、苦笑した。それから数秒間黙り込んだ後、ぽつりぽつりと話し出す。
「実は僕、今の今までなにを春奈に伝えようか思い悩んでいた。尚吾たちを巻き込んだ過去の誤解を解くのは、僕にとって一番に重要なことではなかった」
言い終えると同時に、彼の美しく意志の強さを映し出す瞳がこちらを向く。
食事の間、彼は別れの日はもちろん、子どもや海斗の話題には触れず、料理の話や当たり障りのない雑談をしていた。私も彼の言葉に相槌を打ったり、時折質問に答える形で会話をする程度。
どうしてもぎこちなさは残っていたが、食事の時間は恋人だった頃の時間を彷彿とさせた。
同じものを口にして、『美味しいね』と言い合って。時々目が合えば、恥ずかしくなって下を向く。
そんなすべてに懐かしいと感じてしまっていた。
しっかりとデザートまで食べ終えて、レストランを出る。会計は雄吾さんが有無を言わせず済ませてしまった。
「あの、ごちそうさまでした」
おずおずと頭を下げてお礼を伝えると、彼は微笑んだ。
「少し外でも歩こうか」
この後はどうしたらいいのかと困っていたから、雄吾さんの提案にただ頷いた。
ホテルを出て、海に沿った道を並んで歩く。
こうしてふたりきりでいると、昔にタイムスリップした錯覚に陥る。私は雄吾さんと一緒にいる時間が凪のように穏やかでとても好きだった。
そんなことを思っていると、海風が肌を撫でていく。いつもなら肌寒いと思っていただろうけれど、今ばかりは体感温度も忘れるくらい、隣にいる雄吾さんのことで頭がいっぱいだ。
心臓が信じられないほど速いリズムで脈打つ。次になにを言われるのかを懸命に考えていた。
だって、今日は雄吾さんの方から話がしたいと私を呼び出していたから。
彼の話したかったことは、尚吾さんたちを交えた過去の噂の訂正だけではないはず。
「春奈」
至極真剣な声で名を呼ばれ、肩がビクッと揺れた。
足を止めてそろりと彼を見ると、笑うわけでもなく、そうかといって怒っていたり適当だったりでもない表情を浮かべている。
「今日は来てくれてありがとう」
避けてひどい態度を取っていたのは私。非難こそされど、お礼を言われるなんて。
私は無言で首を横に振る。雄吾さんはそれを受け、苦笑した。それから数秒間黙り込んだ後、ぽつりぽつりと話し出す。
「実は僕、今の今までなにを春奈に伝えようか思い悩んでいた。尚吾たちを巻き込んだ過去の誤解を解くのは、僕にとって一番に重要なことではなかった」
言い終えると同時に、彼の美しく意志の強さを映し出す瞳がこちらを向く。