密かに出産するはずが、迎えにきた御曹司に情熱愛で囲い落とされました
なんだか見られているのが恥ずかしくて、私は急いで顔をそむける。

「さっ、千愛! いただきますしようね」

早口で誤魔化し、私は千愛の隣に座ると両手を合わせた。
そんな私に、透真さんから冷たい視線が送られてくる。

「あのっ、後でたくさんしますから、ね?」
「お預けか。ほんと、煽るのがうまいよな」

千愛のスプーンを持ったまま、私は静止する。
今の状況でお預けを食らっているのは、確実に千愛の方だ。

私が困った顔で笑うと、透真さんは片方の眉を魅惑的にぴくりとつり上げた。

「後でなら、春香からたくさんしてくれるんだな。それじゃあおとなしく、夜まで我慢するよ」
「……っえ!」

意味ありげに目をすがめる透真さんの表情がやけに色っぽくて、私は紅潮してきた頬を隠すために下を向き、千愛のお粥をスプーンで掬う。

妻になり、母になっても透真さんは造作なく私を甘やかしてくれるから、毎日ドキドキしてときめいてしまう。

私の気持ちも露知らず、透真さんが唐揚げを頬張った。その満足げな様子につい頬が緩む。

家族と過ごす温かい日々に、このうえない幸せを感じた私は、こんな日常がこれからも末永く続くことを祈った。




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