離婚前提から 始まる恋
しばらくしてホテルのエントランスまで戻ってきた一団。
真也の隣に立ちハンカチを差し出す里佳子。
総理もホテルの関係者から差し出されたタオルで雨を拭きながら、里佳子に何やら話しかけている。

妻や秘書や側近など真也をサポートする側の人間から見れば、傘を差しかけ濡れないようにするのが当然の行動なのだろう。
でも、政治家若狭真也にとっては傘など差さずに民衆の中に入って行くのが正解だったと思う。

この時、俺には何か腑に落ちるものがあった。
きっと里佳子には里佳子にしかできないサポートがあって、若狭のご両親とは違った形で支えあって行く二人になるのだろうと思う。

「じゃあ、帰えろうか?」
「ああ」

戻ってきた真也と里佳子に促され、俺たちはそれぞれタクシーに乗り込んだ。

まだまだ前途多難の二人だが、きっといい夫婦になってくれるだろう。
俺はそう確信した。
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