大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
第二章

一ヶ月後、新しい派遣先で勤務する日がやって来た。

新しい派遣先は、都内にあるゲーム機器の製造、販売をしている大企業ワンダープレイだ。売り上げ三百万本を突破した『モンスタークエスト』など数々のゲームを制作している。

ゲームの知識もない私は、もちろん開発とはまったく関係のない秘書室での勤務となる。秘書のサポートをしてほしいと聞いていた。

秘書室に案内されて、仕事上関わることの多い、社長、副社長、専務に順番に挨拶に伺う。

「派遣会社より参りました。田神と申します」

何度目かわからない言葉を口にして頭を下げる。
心臓はバクバクしていたが、声は震えていなかったと思う。

濃い色のスーツに身を包んだ彼は、高校時代よりも背が高くなっていた。あの頃下ろしていた前髪は流すように左右に分けられている。

少年ぽさの残っていた面立ちは、色香のある大人の男へと変貌を遂げていた。こんなときなのに、ただ立っているだけでここまで絵になる男もそうそういないのではないか、と考えてしまうのは現実逃避か。
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