大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「契約は十七時までじゃなかったか?」
「あ、はい……そうなんですが、一応、佐々木さんの指示を仰ごうと思いまして」
「君は子どもがいるんだろう?」

拓也から秀也の話題を振られるとは思わず驚く。返事もできずに固まっていると、訝しげな視線を向けられる。

「失礼、しました。はい、小学三年生になる男の子がおります」
「男の子、なんだな」
「あの……はい。それがなにか?」

早く佐々木さんが戻ってきてくれないものか。気まずすぎる。
彼だって、自分を裏切り、ほかの男の子どもを産んだ憎い女なんて見たくないだろう。もしかしたら一日で契約を切られるかもしれない。

(いや……もう十年も前だもんね。忘れてるか)

私が引きずりすぎなのだ。
これほどかっこいい人が、私に未練なんてあるわけがない。

「いや、早く帰ってやれ。三年生とはいえ、まだ子どもだ。君が遅くなったら心配するだろう? わざわざ佐々木の許可を取らなくていいから、時間になったら帰れ」
「ありがとう、ございます」

まさかそんな風に言ってもらえるとは思わなかった。真面目なところも優しいところもまったく変わっていない。
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