大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
一週間後。

「あ、十七時だ。続きは明日でいいよ。俺は専務に報告書届けてくるね」

佐々木さんが立ち上がり、役員室を指差した。

「でもあと一枚で終わるので」
「いいのいいの。専務にも言われてるから。きっちり十七時に帰すようにって」

佐々木さんに言われて、私は入力していた手を止める。まさか拓也がそこまで気遣ってくれるだなんて思わなかった。

ワンダープレイは子どもを持つ保護者からすると本当に働きやすい会社だ。ほかにも何人かの契約社員と派遣社員がいるが、全員子を持つ母親である。皆、十七時なると作業を止めてパソコンの電源を落としている。

(ありがたいな……ほんとに)

拓也との再会は驚きでしかなかったけれど、あまりの居心地の良さから派遣されてたった一週間で、ずっと働かせてほしいと思うようになってしまった。

「お先に失礼します」

ほかの秘書室メンバーに声をかけて、外に出る。拓也は役員室で佐々木さんと話しているのか、出てくる気配はない。

(なんで、偶然会えたらなんて思っちゃってるの)

ドアに向けていた視線を戻し、エレベーターホールへと向かった。ボタンを押してしばらく待っていると、ばたばたと走るような足音が聞こえて、背後から「お疲れ」と声をかけられた。
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