大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
エレベーターが一階に到着しドアが開く。十秒足らずなのに何分にも感じられた。今度こそ「お先に失礼します」と告げて、ドアの外に出るつもりだったのに。
拓也は私の腕を掴み、閉じるボタンを押した。
「どうして……」
「俺も帰るところなんだ。送っていく」
「送ってもらう理由がありません!」
「仕事以外でそういう話し方をするのはやめてくれ。寧子に話があるんだ」
乞うように言われて二の句が継げなくなる。仕事以外、だなんて。仕事じゃないとしたらいったいなんなのだろう。
やがてエレベーターは地下一階の駐車場へと着いた。腕は掴まれたままだ。誰かに見られでもしたらどうするのだろう。私は彼に手を引かれるがまま歩いていく。
「乗って」
「乗りません」
「寧子が乗ってくれるまで、腕を離さない」
彼の目は真剣だった。やると言ったらやる男だ。昔から頑固なところもあった。こうと決めたら意見を曲げず、何度かケンカになったこともある。
拓也とデートをしていて雨に降られた日のことをふいに思い出した。
かなりの土砂降りで、私は傘を買って帰ろうと言った。でも拓也は、傘はどこも売り切れのはず。ならば着替えを買って、雨が止むまでどこかで時間を潰そうと言ったのだ。
結局、どうしても彼が譲らなかったため、一枚千五百円のTシャツを二枚買い、カラオケで着替えたのだが。
帰り際コンビニを覗いたが、たしかに拓也の言うとおり傘は一本も残っていなかった。それに、雨が止むまで拓也と一緒にいられたのはいい思い出となっている。
拓也は私の腕を掴み、閉じるボタンを押した。
「どうして……」
「俺も帰るところなんだ。送っていく」
「送ってもらう理由がありません!」
「仕事以外でそういう話し方をするのはやめてくれ。寧子に話があるんだ」
乞うように言われて二の句が継げなくなる。仕事以外、だなんて。仕事じゃないとしたらいったいなんなのだろう。
やがてエレベーターは地下一階の駐車場へと着いた。腕は掴まれたままだ。誰かに見られでもしたらどうするのだろう。私は彼に手を引かれるがまま歩いていく。
「乗って」
「乗りません」
「寧子が乗ってくれるまで、腕を離さない」
彼の目は真剣だった。やると言ったらやる男だ。昔から頑固なところもあった。こうと決めたら意見を曲げず、何度かケンカになったこともある。
拓也とデートをしていて雨に降られた日のことをふいに思い出した。
かなりの土砂降りで、私は傘を買って帰ろうと言った。でも拓也は、傘はどこも売り切れのはず。ならば着替えを買って、雨が止むまでどこかで時間を潰そうと言ったのだ。
結局、どうしても彼が譲らなかったため、一枚千五百円のTシャツを二枚買い、カラオケで着替えたのだが。
帰り際コンビニを覗いたが、たしかに拓也の言うとおり傘は一本も残っていなかった。それに、雨が止むまで拓也と一緒にいられたのはいい思い出となっている。