大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「そういうとこ変わってない」
「うん、ごめんな」

私はしぶしぶといった体を装い、車の助手席に乗り込んだ。彼が運転席に乗る前に逃げだしてやろうか、と一瞬思ったが、彼と一緒にいたい、話をしたいという感情に流され動けなかった。

「家は? まだ実家か?」
「違うけど……息子が実家で待ってるから、実家に送ってくれると嬉しい」

拓也が以前と同じように話すため、私も昔なじみとして話すしかなかった。十年も経っているし会社内では上司と部下なのに、まるで違和感なくするりと言葉が出てくる。

「わかった」

拓也はナビを入れることもせずに車を走らせた。

「覚えてるの?」
「忘れるはずがない」

どうして、と聞きたいけれど言葉にならない。不貞を働いた私を憎らしくはあれ、好意はないだろう。
けれど、なんらかの期待をしてしまったら、加速する自分の気持ちを止められなくなりそうだった。この十年必死に蓋をしていた想いがいとも簡単に溢れてしまいそうだったのだ。

「話って、なに?」

耐えきれず切りだしたのは私だ。彼は迷いなくハンドルを切り、ぽつりと呟く。
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