大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「俺も十年、そう思っていた。でも、再会した日、寧子の涙を見て……自分の気持ちがちっとも変わってないって気づいた。だから正直、子どもが俺の血を引いてるかどうかなんて関係ないんだ」
「関係ないわけないでしょう!」
「関係ないんだよ。お前のこと、恨んで、憎んで……いっそ記憶を消したいと思った。それなのに、俺の頭の中からちっとも消えてくれない。怒りにまかせてほかの女と関係を持ってみようと思いもしたのに、だめだった……寧子じゃないと、だめだったんだ」

悲痛な声が私の胸を揺さぶる。それではまるで、私を忘れられないと言っているようだ。あれから十年も経っているのに。ずっと私だけを想い続けてきたと。

「だから、これは確認でしかない。本来、こういう情報を漏らしていけないんだが、コーディネーターの岩波さんから聞いた」
「なにを、聞いたの」

岩波さんには、当然、拓也との付き合いなど伝えていない。世間話はするけれど、どれも仕事に関わることばかりだ。いったいなにを聞いたと言うのだろう。

「真面目で無断欠勤や遅刻もない。資格は持っていないが、国立大学に現役合格するほど優秀で、仕事にはひたむきな努力を重ねられる人だと。ただ、どうしても残業ができないから、いい仕事からは弾かれてしまう。どうにか力になりたい、彼女はそう言っていた。俺が知ってる寧子……そのままだ」

嬉しかった。まだそう思ってくれることが。
裏切られたと思っているのに、そこまで評価してくれるのかと。彼の公明正大さを何度尊敬しただろう。
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