大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「無理よ……あの子にはなにも話してないの」
「今日は遠くから眺めるだけにする」

私たちがどんなに想いあっていたとしても、彼の母親は祝福してはくれない。
私への愛を貫くのなら、待っているのは家族との決別だ。彼から家族を奪ってまで、この恋を成就させたいとは思わない。

「寧子と秀也の生活を守りたい。父親としての責任を果たしたい」

頼む、と拓也が頭を下げた。
拓也はあの子の父親だ。会う権利はある。けれど、父親として会わせるわけにはいかない。それに実家で会えば母はおそらく察するだろう。
なにも知らなかった拓也を責める可能性もある。

「あなたに守ってもらわなくてもなんとかなってる。とりあえず、今日は帰って」

彼は切なげに目を細めた。そう言われるのも覚悟していた、というように。

「帰らない」

帰らないと言ったら、彼はてこでも動かないだろう。思わずため息が漏れた。

「わかった……今度、高校時代の友人として紹介する。でも、秀也によけいなこと……父親だとか、そういうことはいっさい言わないって約束してくれるなら」
「もちろん約束する」

拓也の表情が目に見えて明るくなった。
大人になっても笑った顔は変わっていない。
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