大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「じゃあ、予定が決まったら電話する」
「わかった」

車を降りて、何事もなかったように実家のインターフォンを押すと、秀也の声で『お母さん?』と応答があった。続いてドタドタと廊下を走る音が聞こえ玄関のドアが開けられる。

「おかえり!」
「ただいま。ご飯は食べた?」
「うん! もう帰る?」
「明日も仕事だから帰ろうかな。お母さーん、このまま帰るね!」

玄関先に秀也の荷物を持ったお母さんがやってきた。

「じゃあこれ持っていきなさい」
「いつもありがとう」

今晩の夕食のおかずを詰めたパックを渡されて、礼を言う。秀也の面倒を見てくれて、こうして食事まで用意してくれるのだから、母には頭が下がる思いだ。

「あまり無理しないのよ」
「ありがと。じゃ、行こっか」
「うん。おばあちゃん、また明日ね!」

お母さんに手を振り、秀也と実家を出た。
アパートに向かって歩いていくと、道の端に拓也が立っていた。
そうまでしてこの子の顔を見たかったのかと思うと、いやな気はしない。
彼に目を向けずに通り過ぎる。背を向けても彼が立ち去る気配はなかった。秀也の後ろ姿をずっと眺めているのだろう。
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