大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「う~もうだめ」
「えぇ~お母さんあのくらいで酔っちゃったの? 僕まだ乗りたい」

私は口元を押さえて、ベンチにぐったりと座り込んだ。

秀哉を連れてきたことはあったけれど、そのときはまだ身長が足りずジェットコースターなどは乗れなかった。自分が回転系の乗り物に弱いと忘れていたわけではないが、少しくらいなら大丈夫だろうと油断したのが仇となったようだ。

「これ飲んで休んでろよ。寧子、昔からこういうのだめだっただろ。秀也、お母さんに休んでいてもらって俺と乗り物乗らないか?」

拓也に手渡されたペットボトルを受け取り、礼を言う。

「ありがとう……いや、でも」

秀也を任せてしまうのはさすがに、と迷っていると、すかさず秀也が乗る! と口に出した。拓也は嬉しそうに頷き、秀也の頭を撫でる。

「あれ乗ったらすぐ戻ってくるから。顔が真っ青だ。休んでろ」

拓也の手が私の頬を包むように触れる。ペットボトルを持っていたからか、ひんやりと冷たくて気持ちがいい。ついうっとりと目を瞑って、我に返る。今は付きあっているわけじゃないのに、気を抜くと気持ちが高校時代に戻ってしまう。

「秀也、ちゃんと犬飼さんの言うこと聞いてね」
「わかってる。じゃ行ってくるね」

秀也は手を振り、拓也と共に並びに行ってしまった。小学校三年生にもなれば、母親にべったりという感じでもない。甘えてばかりだった小さい頃を思い出すと少し寂しいような気もしてくるが、これも成長だ。
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