大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
私だって自分の妊娠に気づいたとき、動揺したし後悔もした。避妊できていなかったのかと拓也に対して恨みがましい気持ちにもなった。だから、拓也が私の妊娠を喜ばないであろうことは想像できたのだ。

「大変なことを全部寧子に任せておいて、今さらなのは承知の上だ。でも、これからは頼ってほしい。今なら、君も子どもも受け止められるだけの包容力はある。何があっても二人を守ってみせる。許してとは言わない。許さなくていい。でも俺は諦めるつもりはないから、結婚してほしい」

信号待ちで車が停まる。
熱のこもった目で見つめられて、胸の鼓動がばくばくと激しく音を立てた。

拓也の腕が伸びてきて、頬を軽く撫でられる。肩から腕に下りて指先を絡められても、抗えなかった。

「そ、んなの……あなたのお母さんが許すはずない……っ。大事な人に結婚を認めてもらえないって、辛いでしょ」

震える声でそう返すしかなかった。

「そう言うってことは、俺との結婚自体はいやじゃないんだな?」
「え、あっ」

慌てて口元を押さえてももう遅い。拓也はにやりと笑い、私の指先に口づける。

「俺を、もう一度好きになってくれる?」

好きにならない、とは言えなかった。
だって、私が好きだったのは過去も現在もこの人だけだ。

返事に困っていると、信号が変わり、繋いでいた指先が離れていく。それを残念に思ってしまうくらい、離れがたかった。
< 31 / 57 >

この作品をシェア

pagetop