大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
自宅アパートの近くにつき、車が停まった。拓也は、ハザードランプを点灯させ、ギアをパーキングに入れてこちらを見る。

「さっきの、返事は急がないから。お前の気持ちもだけど……俺のこと、秀也に父親だって打ち明けられる覚悟ができてからでいい。十年以上好きなんだ。二十年でも三十年でも待つ」
「三十年って」

互いにおじいちゃんおばあちゃんになるではないか。そんなに待ってまで、私を好きでいてくれるのかと思うと、どうしようもないほど胸が轟く。
でも、私と結婚すれば、また昔のように悩ませてしまうのではないか。不安が拭えない。彼の手を取りたい。けれど、彼には自分に見合った人と家族に祝われる結婚をしてもらいたい。もし家族と縁を切るようなことになったら。

「本気だ。大学を卒業してから、何人もの女性と見合いをさせられたよ。でも、どうしても無理だったんだ。十代の恋なんて所詮一過性のものだと思う自分もいるのに……何年経っても、胸の深いところにお前がいる。俺の記憶がなくならない限り、ほかの誰も愛せない」

私と同じだ、そう思った。
シングルでも小さい子どもがいても、私を好きだと言ってくれる男性はいた。
忙しいからとか、その気になれないとか理由をつけて断っていたが、本当は違うともうわかっている。
私も、拓也しか好きになれない。ほかの誰も、彼の代わりにはならない。たとえ自分が傷ついても、愛する人が幸せならばそれでいいと思える。そんな相手は彼だけだ。

ならば抗うなんて無駄ではないか。私たちはもう大人だ。あの頃のように高校生ではない。自分の努力で変えられるものがあるのなら、行動するべきだろう。
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