大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「帰したくなくなる。十年、寧子を抱いてないんだ。余裕がない」
「ほかの、人は?」

そう聞いてしまったのは、私と違って身体の関係を持った人がいたんじゃないのと、つい邪推してしまったからだ。たとえほかの誰かと身体だけの関係を持っていたとしても、私になにかを言う権利はないのに。

「ほか? あるわけないだろう。寧子、うそでもいいから……お前も俺以外に抱かれてないと言って。想像するだけで、嫉妬でおかしくなりそうだ」

こつんと額を押し当てられて、困ったような笑みが向けられる。

「あなたとしか、したことない。うそじゃなくて、本当に」
「なら、今度……確かめてもいい?」

言葉の意味を理解して、全身が火照ったように熱くなる。頭ごと引き寄せられて、拓也の胸に顔が埋まる。小さく頷くと、後頭部を押さえる手の力が強くなった。

「秀也が起きてくれないと困るな」

まるで空気を読んだかのように、後部座席で寝ていた秀也が身動いだ。寝返りを打ち、座席から落ちそうになったところで目がパチリと開く。
私は慌てて身体を離し、後部座席を振り返る。

「あれ、ここどこ?」
「おうちの前だよ。犬飼さんが送ってくれたの。ありがとうしようね」
「犬飼さん、ありがとう」
「また遊ぼうな」
「ん~」

まだ寝ぼけているのか、秀也はふわりとあくびをこぼす。今日は風呂に入れるのは無理かもしれない。
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